2.音楽大学のレベルと選び方
2019年10月31日 15時39分
では自分に合った音楽大学の選び方を検討しましょう。どの音楽大学に行くべきかは、なによりも「目的」に左右されます。前項で見たように、プロの音楽家をめざすか、音楽の先生をめざすかでまず変わってきます。ですがここでは、前者が後者も兼ねるということもありますので、プロの音楽家をめざすという方向で考えましょう。
2.⑴レベルの高さ
プロをめざす以上は、できるだけレベルの高い大学に行くべきです。その「大学のレベル」をはかる指標のひとつに、先ほど軽く触れた「コンクールの上位入賞者の数」があります。
どんな領域でも同じですが、すぐれたスキルを持つ人がかならずしも良い先生とはかぎりません。つまり演奏家としてすぐれていても、指導力があるとはかぎらないわけです。
しかし、コンクールに多数の弟子を上位入賞させているということは、その先生の指導力が高いことの証拠と見なせます。
各種コンクールに数多くの上位入賞者を出している大学としては、上記の「1⑴」と「1⑵」に挙げたような大学がそれに当たると考えていただいて問題ありません。
2.⑵学費の問題
大事なお金の話です。ポイントはひとつだけ。「国公立大学は安い、私立大学は高い」……これです。
家庭の事情によっては、国公立大学しか選べないという人もいるでしょう。しかし、国公立大学の音楽科は募集人数からして少なく、競争倍率が非常に高くなります。もちろんそのぶんだけ学内の学生のレベルが高くなりますので、たいへん良い修行の場になることはたしかです。
問題は大学そのものの数が少ないということでしょうか。東京なら東京芸大ですが、あとは愛知県と京都府と九州と沖縄県ということになります。幸いにして入学できても、親御さんから遠く離れてしまうことになるケースも多いことでしょう。
他方、「私立大学は高い」の話です。桐朋学園大学など、有名私立になると初年度納入金が300万円ちかくにもなります。授業料だけ見ても100万円を超えるのは当たり前の世界です。
ただし、スカラーシップ制度はたいていの私立音楽大学が設けています。「特待生」、「給費生」、「奨学生」など、大学によって呼び方はさまざまですが、授業料の全部または一部を免除するものや、国内外での学習の機会について経費を給付するものなどがあります。
私立音大をめざすなら、こういったスカラーシップ制度の内容から選ぶのもひとつの方法です。
2.⑶学風・環境など、その他の項目
ある程度伝統のある大学だと、長い間につちかわれたそれぞれ独自の文化があります。たとえば昭和音楽大学などは「礼・節・技」を重んじる、ちょっと固めの学風となります。武蔵野音楽大学も似た感じで、「音楽芸術の研鑽」と「人間形成」を教育方針の基本としています。
武蔵野音楽大学に関しては「コンサートホールを4つも持っている」という魅力があります。こうした学内施設・設備なども大学選びの着眼点になります。
さらに、海外留学へのアクセスしやすさも要チェックです。興味のある国、行ってみたい大学と交換留学の制度があれば、入学してみたいと思うでしょう。